緑色の合成豆
SFなんかに合成食料ってのが出てくるけど、あれの中身って何だろね？
大体合成食料って言えば
「なんかよくわからないけれど恐ろしく高い栄養価」
「なんかよくわからないけれど恐ろしく糞不味い」
「四角い塊だったり球体だったりチューブだったりとひたすら地味」
というのが相場である。
あと何故かそういう世界においてはやたら生物由来や過去の食材が
馬鹿高く設定され、下手すりゃご禁制の品になっている…そして
「あーいっぺんでいいから天然物食ってみたいなぁ…」
というどっかで聞いたような台詞を登場人物が語る。
さて、そういう状況になることって実際ありうるんだろうか？
基本的に人間に限らず動物は生物を食らうわけだ。
それが植物だったり、動物だったりその死骸だったりするだろうけど。
まれに排泄物とか食う動物もいるが、それにしたって元をたどれば
そういう生物由来である。
伝説上の動物である麒麟とて、枯れた草のみを食べるといっても結局は
生物由来のもの食ってるんだよな。
究極の菜食主義者である麒麟は考えようによったら分解バクテリアと同類
といえるかもしれない。
麒麟さんが好きです。でもゾウさんはもっと好きです。
生物である限りこの縛りからは逃れられないわけで、どうしても逃れたきゃ
仙人にでもなって霞食うか、機械の体でも手に入れて電気の供給でも受けるか
だが、現在の技術じゃちょっとどっちも無理だろうと思う。
まだ機械の体の方が現実味が…いや、どっちも似たようなもんだ現時点では。
結局人間食わなきゃ死ぬわけで、とりあえずじゃあなんか炭水化物食うという
くくりで考えることにしよう。
炭水化物っていっても簡単なものなら化学的に合成できるといえる。
エタノール（エチルアルコール：酒の成分）程度なら、コスト面考えなきゃ
飲んでも問題ないもの作れるはずだ。
そんなわけで、生物介さず食料作れるかということを考えたら、現時点でも
ある程度はやれなくはないといえる。
たださ、エタノールだけ（orエタノール水で薄めて）飲めるかっていうと、
アル中でもない限りぶっちゃけ無理。不味い。
そら酒の重要な構成要素だよ、エタノール。
でもさ、エタノールだけってのはちょっと違うだろ、と思うのだがどうだろう。
化学合成の欠点はここにある。同一のものを大量に作れるよ確かに。
でもさ、生き物ってのは単一のものだけ食って生きていけるかっていうと、
ぶっちゃけ無理なんだよ。一見単一のもののみ食っているようでも、微量の
金属元素とかも補給している。
って考えると、やっぱりバクテリア利用とか植物プラントが現実的なのではないか。
エネルギー効率的にもそう遠くない未来に植物プラントは実現可能かもしれない。
あと組織培養って手もあるとは思う。
うまいこと「脳」やら「体」があると勘違いさせて適度に電気パルス送ったり
栄養流し込むと旨い肉が培養される…そんな肉工場が未来には出来るのかなぁ？
培養肉なら骨も皮もない。ゴミも出ないし切り分ける必要すらなく作れる。
うん、地球に優しい気がするぞ？
どうしても化学的に合成したいなら生物の反応系を部分的に利用するのは
どうだろうか。人工細胞の応用だな。これも今すぐ出来るってわけじゃないけど。
酵素反応系を利用するほうが効率いいだろう。
何しろ酵素ってのは４０億年ともいわれる時間で築き上げてきた究極の反応系だ。
それに人間が効率で勝とうとなると…なかなか難しくないか？
そのエネルギー転換効率は異常とも言っていい高い数値である。
４０億年の生物の歴史は伊達じゃない。
先ほどみたとおり、エタノールくらいなら比較的簡単に合成可能だ。
糖までいくとやや困難だろう。実現不可能というわけでもないが。
合成たんぱく質としてアミノ酸を化学合成となるとかなり面倒だ。
現物には糖鎖修飾もあるんだぜ？やっぱ培養が一番効率がいいだろ。
そう、できなかないがお金やエネルギーがかかりすぎる。
SFであるような状況、人間以外すべての生物が死に絶えることはあるのか。
…その前に人類が絶滅するほうに賭けてもいい。
話は変わるが大概のSFでは合成食料＝不味いだが、これは何故だろうか。
やはり複雑な味など出せないからだろう。
単純なものは合成できる、だから合成で栄養素だけ補給する。
味？そんな贅沢なこと言っていられるか。
…そうなる前に間違いなく人類絶滅してるから安心しろって。
バクテリアが全て絶滅する状況じゃあ人類はとっくに滅んでるがな。
で、バクテリアがいるならそれを利用して反応系作ったほうが効率的だ。
というわけで合成食料作るにも生物介すのが手っ取り早くておいしく仕上がります。
ぜひお試しを。
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人材料にするにしても現物食うより、分解して他の生物の栄養に転換して
それをいただくほうがまだなんぼか精神的に気が楽だろ。